- 胸部異常陰影(肺がん検診異常)を
指摘された方へ - 胸部異常陰影に特有の症状はある?
- 胸部X線検査(肺がん検診)で
疑われる病気 - 当院では肺がん検診に
低線量胸部CT検査を使用しています - 胸部異常陰影を指摘されたら
「精密検査」を受けましょう
胸部異常陰影
(肺がん検診異常)を
指摘された方へ
「胸部異常陰影」とは、健康診断などの胸部X線やCT検査で発見される陰影の仮称です。胸部X線検査で浸潤影や結節影が見つかった場合、肺腫瘤または肺がんの可能性があります。浸潤影は、肺に液体が溜まっていることを示す不明瞭でぼんやりとした影です。肺炎で見られることもありますが、肺がんの兆候である場合もあります。結節影は、肺結核、非結核性抗酸菌症、肺真菌症、良性腫瘍でも見られます。
胸部異常陰影に
特有の症状はある?
咳、血痰、発熱、倦怠感などが主な症状です。結核と似ていますが、人から人への感染がない点が大きな違いです。胸部X線やCT検査では結核との区別が難しいため、痰や組織を採取し、顕微鏡で菌の種類を確認することで確定診断がくだされます。
胸部X線検査(肺がん検診)で
疑われる病気
健康診断の胸部X線検査で異常が見つかったことにより発見される病気には、肺がん、その他の呼吸器疾患、心疾患、甲状腺疾患などがあります。また、精密検査の結果、特に異常が認められない場合もありますが、早期のがんが発見される場合もあります。
肺がん・肺腫瘤
胸部X線検査で、はっきりと境界のある結節や腫瘤の陰影がみられる場合は良性腫瘍、悪性腫瘍、肺結核、肺真菌症、非結核性真菌症の可能性があります。
境界がはっきりしない浸潤影がみられる場合は肺炎、結核、非結核性真菌症、肺真菌症の可能性があります。結節は通常、境界がはっきりした小さな陰影ですが、大きくなる傾向がある場合は、肺がんの悪化や感染症の兆候が疑われるため注意が必要です。
肺がんは長年、日本人のがんによる死亡原因の第1位であり、転移や進行すると治療が難しくなりますが、早期に発見して適切な治療を行えば治癒が期待できます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性気管支炎・肺気腫
慢性閉塞性肺疾患(COPD)や慢性気管支炎、肺気腫 慢性閉塞性肺疾患(COPD)などは、喫煙の習慣や、長期にわたり粉塵にさらされ続けたことにより肺組織が破壊され、正常なガス交換が難しくなる病気です。
肺組織の破壊の程度は、X線検査で確認できます。損傷した肺組織は修復できませんが、禁煙により進行を止めたり、気管支拡張剤で症状を改善したりできます。
COPDが悪化すると、全身の酸素供給が不足するため、ご自宅にて酸素を投与する在宅酸素療法が必要になることがあります。
結核
結核は、昔の病気という印象をお持ちの方も多いのですが、今でも毎年1万人以上の新規感染者が診断される、一般的な感染症です。結核には他者に感染させることができる「活動性肺結核」と、過去に感染した結核によって肺が損傷している状態の「真球性肺結核」の2種類があります。
他者への感染拡大を防ぐためには、専門医による胸部X線検査の受診が大切です。
現在、結核は適切な治療を6ヶ月ほど受ければ完治が目指せると言われています。
非結核性抗酸菌症
主な症状は結核と似ていますが、ヒトからヒトへの感染はありません。胸部X線検査やCT検査などの画像検査と、喀痰の微生物学的検査で菌の種類を確認して確定診断となります。近年、中高年の女性に増えており、診断された場合は定期的な診察が必要になります。
甲状腺がん
甲状腺が肥大したり、腫瘍ができたりすると、気管が左右の片側にずれることがあります。その結果、胸部レントゲン検査で甲状腺がんが発見されるケースが多くあります。気管のずれがある場合は、超音波検査や血液検査を行って甲状腺の状態を確認することが必要になります。
サルコイドーシス
肉芽腫は、原因不明の炎症性疾患です。全身の様々な部位に発症し、症状は肉芽腫が存在する場所によって異なります。肺の肉芽腫は咳や呼吸困難を起こすことがありますが、無症状のことが多く、健康診断の胸部X線検査で肺門部のリンパ節腫大によって発見されることがあります。ほとんどの症例は自然に改善し、重篤化することはほとんどないと考えられています。
当院では肺がん検診に
低線量胸部CT検査を
使用しています
CT検査(コンピュータ断層撮影)は、体の断面を輪切りの形で撮影します。胸部X線は平面画像ですが、CTでは臓器を立体的に見ることができます。肺がん検診用の低線量胸部CT検査では、肺の細分化された気管支や血管が鮮明に映し出され、胸部X線では検出が難しい薄い影の病変や、心臓や横隔膜に重なる病変も検出できます。
肺がんのほか、低線量胸部CT検査では肺結核や肺炎も検出できます。
(CT検査は準備中です。)
胸部異常陰影を指摘されたら
「精密検査」を受けましょう
健康診断の結果、精密検査が必要と判断された場合は、胸部X線検査、胸部CT検査、肺機能検査など必要な検査を行います。
健康診断の結果、要精密検査と診断された場合でも、必ずしも「がん」を意味するものではありません。精密検査とは、病気をより詳しく調べるために行う追加検査です。
精密検査を受けた人のうち、実際にがんと診断されるのは100人に1人程度です。安心して精密検査を受けましょう。胸部X線検査を繰り返し行うのは、画像の変化を比較して観察し、早急な治療が必要かどうかを判断するためです。
胸部CT検査では、病変の位置、形状、輪郭線などに関する詳細な情報が得られます。
肺機能検査では、肺の年齢や肺機能の低下の有無や程度を調べることができます。
これらの精密検査は健康保険が適用されます。当院以外の医療機関やお勤め先で受診された方でも、当院で精密検査を受けることができます。受診の際は、健康診断の結果を必ずお持ちください。