以下の項目に当てはまる方は、
当院にご相談ください。
- 血圧が高いと指摘されたことがある
- 塩辛い食べ物が好き
- 頭が重く感じることがある
- 息切れや動悸を感じる
- 頭痛や肩こりが頻繁にある
- 家族に高血圧と診断された方がいる
上記のような項目に当てはまる場合、高血圧の可能性があります。高血圧は自覚症状が出にくいため、早期発見が難しい病気です。該当する方は、早めにご相談ください。
高血圧について
高血圧症とは、少なくとも5分以上安静に座った状態で測定された血圧が高いことを指します。
多くの患者様は健康診断で異常を指摘されてから病院を受診されることが多いです。高血圧は通常、緊急治療を要する病気ではありませんが、長期的には様々な臓器に影響を及ぼすことがあり、長期間の治療が必要となる病気です。
日本ではかつて脳卒中の発症率が高く、1965年頃までは脳卒中による死亡率が世界で最も高かったですが、その後の血圧管理の改善により、脳卒中の死亡率も低下しました。血圧の管理が脳卒中予防に重要とされています。
また、高血圧は心不全や動脈硬化に起因する狭心症、心筋梗塞、末梢血管閉塞症、腎疾患などのリスクも高めます。早期からの生活習慣の改善や、必要に応じた薬物療法が重要です。
しかし、高血圧で受診される患者様のうち、良好にコントロールされるのは約半数にとどまっています。家庭での血圧測定を含め、患者様と医師が協力して治療を進めることが重要です。
高血圧の種類
高血圧は、その原因によって本態性高血圧と二次性高血圧に分類されます。
本態性高血圧の原因
一般的に高血圧と呼ばれるもののほとんどは本態性高血圧であり、日本人の高血圧の大半はこのタイプです。
本態性高血圧のリスク因子には、塩分の摂取、肥満、運動不足、ストレス、喫煙、加齢、遺伝的要因などが関係しています。
二次性高血圧の原因
二次性高血圧は、特定の病気が原因で引き起こされる高血圧です。
二次性高血圧の原因としては、腎実質性、腎血管性、内分泌性、睡眠時無呼吸症候群、遺伝性、薬剤誘発性などが挙げられます。
高血圧の基準について
高血圧とは、血圧が正常値を超える状態を指します。血圧は心臓が血液を送り出す際の血管への圧力で、理想的な収縮期血圧(最高値)は120mmHg以下、拡張期血圧(最低値)は80mmHg以下とされています。
高血圧とされる基準は、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上です。
高血圧の診断基準
血圧は座った状態で測定するのが基本ですが、緊張によっても高くなるため、病院での測定値と自宅での測定値(家庭血圧)を総合的に評価します。
自宅での家庭血圧値が135/85mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。
診断基準の詳細
収縮期血圧(最高血圧)
- 病院で測る場合:140mmHg以上
- 自宅でリラックスして測る場合:135mmHg以上
拡張期血圧(最低血圧)
- 病院で測る場合:90mmHg以上
- 自宅でリラックスして測る場合:85mmHg以上
家庭血圧は、朝晩1日2回測定するのが望ましく、朝は起床後1時間以内・排尿後・食前、夜は就寝前に測定します。朝晩ともに2回測り、その平均値を記録するようにしましょう。
複数回測定して自宅での家庭血圧の平均値が135/85mmHg以上であれば、医療機関の受診を推奨します。
高血圧の原因
高血圧の約90%は「本態性高血圧症」に分類され、その明確な原因は不明ですが、遺伝や生活習慣が関係しているとされています。
以下が高血圧を引き起こす主な要因です。
過剰な塩分摂取
体は塩分濃度を一定に保とうとするため、塩分の多い食事をすると体内の水分量が増え、血液量が増加し血圧が上昇します。
肥満
脂肪細胞から血圧を上げる物質が分泌されるため、脂肪細胞が増えると血圧が高まります。特に内臓脂肪が多いと動脈硬化が進行します。
過剰飲酒
適度な飲酒にはリラックス効果がありますが、過剰な飲酒は血圧を上昇させる要因となります。
ストレス
精神的なストレスは交感神経を活発にし、心拍数や血管の収縮を増強させて血圧を上げます。
自律神経の乱れ
疲労や睡眠不足により自律神経が乱れると交感神経が強く働き、血管を収縮させて血圧が上がります。
運動不足
運動不足は血行を悪化させ、血圧を上げやすくします。
喫煙
タバコに含まれるニコチンは交感神経を刺激し、血圧を上昇させます。さらに、喫煙により活性酸素が増え動脈硬化が進行し、血圧がさらに上がります。
これらの要因を避けるために、バランスの取れた食事、適度な運動、適切な飲酒量、ストレス管理、十分な睡眠を心がけましょう。
高血圧の合併症について
高血圧は心臓や脳などの臓器に負担をかけ、長期間放置すると次のような合併症を引き起こす可能性があります。
心臓病
高血圧により心臓に負荷がかかり、心筋梗塞、不整脈、心不全などの心臓病を引き起こすことがあります。これらの疾患は、高血圧が長期間続くことで発生しやすいため、早期治療が重要です。
脳卒中
高血圧は脳の血管を損傷し、脳卒中を引き起こす可能性があります。脳卒中は高い死亡率を持ち、生存しても後遺症が残ることが多いため、早期治療と生活習慣の改善が必要です。
腎臓病
高血圧は腎臓の血管を損傷し、腎臓病を引き起こすことがあります。進行すると尿毒症を引き起こすことがあり、重篤な状態になることがあるため、早期治療が必要です。
眼の病気
高血圧は網膜の血管を損傷し、視力低下や失明を引き起こすことがあります。高血圧が長期間放置されると発生しやすいため、早期治療が重要です。
高血圧の治療について
高血圧は生活習慣の改善や薬物療法、またはその併用によって治療されます。具体的な治療方法は以下の通りです。
食生活の改善
食生活の改善は高血圧の治療において重要です。特に塩分の摂取を減らすことが大切で、1日の塩分摂取量を6g以下に抑えるようにしましょう。また、野菜や果物を積極的に摂取することで、カリウムやマグネシウムなどのミネラルを補給できます。
運動療法
適度な運動は高血圧の改善に効果的です。有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)や筋力トレーニングを行うことで血圧を下げることができます。運動には個人差があるため、自分に合った運動方法を選ぶことが重要です。
薬剤療法
薬剤療法は高血圧の治療に広く用いられる方法です。一般的には以下のような降圧剤が使用されます
- カルシウム拮抗薬:動脈のカルシウムイオンを調整して血管を拡張させます。
- アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬:血圧を上げる物質「アンジオテンシンⅡ」の生成を抑えます。
- アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB):アンジオテンシンⅡの作用を抑えて血管の収縮を防ぎます。
- 利尿薬:腎臓に働きかけ、尿中へのナトリウムの排出量を増やして血圧を下げます。
- β(ベータ)遮断薬:交感神経の働きを抑えて脈拍や血管の収縮を制御します。
- α1(アルファワン)遮断薬:血管収縮を引き起こす受容体を遮断し、血管の収縮を抑えます。
これらの薬剤はそれぞれ特定の効果があり、適切な薬剤を使用することで高血圧による合併症の予防や治療に役立ちます。ただし、必ず医師の指示に従い、適切な用法・用量で使用するようにしましょう。